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パイプのコラム

マンハッタン

 この前、会社の夏休みを利用して、ニューヨーク旅行に行って来たので、今回のコラムではニューヨークのたばこ事情について書かせてもらう。あくまで5日間の旅で自分が勝手に思ったことなので、事実とは必ずしも一致しないところもあるかもしれないが、ひとつの体験談として楽しんで読んでいただければ幸いである。

 ニューヨークといえば、テロの被害にあったところなので、飛行機に乗る前のセキュリティチェックも厳しくなった。どういうチェックがあるかというと、従来の赤外線チェック、金属探知器チェックはもちろんだが、それに加えてスタッフによる手荷物検査がある。液状、ゼリー状のものはそこですべて没収される。要するに液状のものさえなければ何も問題がないので、皆さんが想像しているよりは厳しいものではない。

 僕はニューヨークの町中で堂々とパイプをふかす気でいたので、パイプとラタキア煙草とライターをカバンに入れていた。無論ライターは機内持ち込み禁止で、荷物として預けることもできない。つまりはライターは国外に持っていくなということ。だからニューヨークに着いたらどこかでライターを買わなければならないと思っていた。

 ところがこのニューヨーク、ほとんどの人が人前で煙草を吸わないようで、町中をみまわしても歩き煙草している人はほとんどいなかった。ファストフードなども基本的に全席が禁煙席。おまけに、どこのお店にいっても煙草が売ってない! いったいニューヨーカーはどこで煙草を買っているのかと、不思議に思った。せっかくパイプを持ってきたのに、ライターが買えないので、最初の2日間は何も吸うことができなかった。

 話は一旦変わるが、8年前僕がロサンゼルスを旅したときには、アメリカは煙草天国かと思った。ロサンゼルスではどこのお店にもシガーケースがあったからだ。スーパーに行けば、かなり大きなヒュミドールもあった。ロサンゼルスでは町のあちこちでシガーを吸っている人がいたものだし、僕も歩いているだけで「君、シガー持ってるかい? 1本譲ってくれよ」、「君、マッチかライター持ってるか?」と声をかけてくるのが当たり前だった。別にたかりでもなんでもなく、煙草を赤の他人同士、まるで兄弟のように分け合うことは、ロサンゼルスの人たちにとってコミュニケーションのひとつだった。この人懐っこさは、ちょうど大阪の人のようだと僕は勝手に思っていた。

 ところがニューヨーカーは違う。みんな早歩きで歩くので、誰も話しかけてきやしない。ロサンゼルスでは町を歩けば「旅行かい?」、「良いカメラ持ってるね」、「どこに行くんだい?」などと話しかけられたものだが、ニューヨーカーはもっとクールな感じで、みんな忙しそうだった。まるで東京の人みたいだと勝手に思った(東京が悪いといってるわけじゃないぞ)。

 ニューヨークを歩き続けて、やっとのことで煙草屋を見つけた。わくわくして入ってみると、シガーがずらりと並んでいて、パイプ煙草もいくらかあった。どれも金額は高めだった。これなら日本で買った方が安いかもしれない。英語力が乏しいので確かではないが、どうやらキューバ産シガーはないようだが、キューバ風シガーというものはあったようだ。お客さんたちはシガーをふかしながら、店員とぺちゃくちゃ喋っていた。せっかくなので、僕はシガーを1本買うことにした。一番安いランクで、4ドルくらいのものを選んだのだが、税金が高かったので支払ったのは5ドルだった。アメリカでは煙草を買うときには身分証を見せなければならない。僕は不運にもパスポートを忘れていたが、あご髭をたくわえていたためか、店員は「まあいいだろう」といって吸い口をカットしてビニール袋に包んでくれた。

 ホテルに帰り、シガーをふかした。5ドルとはいえ、海外で味わうシガーは格別にうまかった。このとき初めて自分のカバンの中にライターが入れてあったことを思い出した。空港スタッフは僕がライターを持っていたことに気づかなかったのだ。さしずめ空港のセキュリティなんてそんなものだろう。

 翌日、スーパーでやっとライターを見つけた。日本でいう100円ライターと同じデザインのカラフルなライターが売ってあった。ところがこの値段が税抜きで2ドル! 日本円にすると税込み250円てとこか。向こうは何をするにも物価が高い。ちなみにマクドナルドで食べたビッグマック・セットは日本円換算で800円と、ちょっとした高級品だったが、日本のそれよりもまずかった(この文章を書いている時点では日本ではビッグマック・セットは580円だ)。

 3日目、ホテルを変えた。それまでのホテルは4000円くらいの価値しかないホテルなのに一泊2万円以上も取られた。次のホテルはまあ8000円くらいの価値はあったが、それでもやはり一泊2万円以上と、割高である。場所はエンパイアステートビルの近くだったので悪くはなかったが、しかしながら高すぎる。

 困ったことに次に泊まった部屋には灰皿がなかった。アメリカでは喫煙室と禁煙室の選択は希望通りに行かないらしいが、どうやら僕の案内された部屋は禁煙室だったらしい。せっかくパイプを持っていったのに、結局僕はアメリカで一度も吸うことがなかった。できれば町中で歩きパイプでもやってみたかったのだが、こうも喫煙者が少数となると、遠慮するしかなかった。(2006/8/30)

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